『週刊エコノミスト』に記事を掲載させていただきます!
.reviewの活動もしている私ですが、今度は、来週発売の
『週刊エコノミスト』という雑誌に記事を書かせていただきました。
詳しくはこちら
http://mainichi.jp/enta/book/economist/
発売は休み明けの火曜日になるかと思います。
内容としては、ビジスタニュースや.reviewの論考でも取り扱った、ウィキリークスという内部告発サイトについて、経営者の立場に立って論じてみました。
ウィキリークスに限らず、リーク一般については、論者の立ち位置によって見え方が大きく変わるかと思います。リークをする立場からなのか、それともリークをされる側=会社経営者等からなのか。今回は雑誌の購買層も意識して、経営者の視点に立っております。よければチェックよろしくお願いします。
.reviewに論考を載せました。
先日、僕も活動に参加している.reviewに論考を掲載しました。
『リークが孕む問題系』です。.reviewのサイトに掲載されています。
この論考は、前にビジスタニュース様に掲載させていただいた論考をベースにして書いたものです。けっこうビジスタニュースで書いた論考と被っている箇所もありますが、結論など、新たに加えていることも多いです。なんにせよ、初めて公の媒体で書かせていただいたビジスタニュース様には感謝感謝です。
ビジスタニュースの原稿はこちらから
http://bisista.blogto.jp/archives/1296235.html
コメントはTwitterの #co_article28
にお願いします。
フシギなくらい見えてくる! 本当にわかる社会学
先日、僕も執筆している本が発売されました。
- 作者: 現代位相研究所編,堀内進之介,大河原麻衣,山本祥弘,塚越健司
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2010/04/15
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 332回
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社会学の入門書です。
ですが、入門といいつつ、初学者以上も学べる視点で書かれています。
というのも、本書にちりばめられている社会学のキーワードは、視点によってはいくらでも深読みできるものです。
それはつまり、平易な文章ではありますが、読む人が読めば、その裏に秘められている社会学の深淵な領域にまで足を突っ込むことが可能だということです。本書の平易な文章を契機として、どこまで社会学の深淵にもぐりこめるか。初学者以上の方もそうした読み方ができると思います。
また本書は社会学の本ですが、これを読めば社会を知ることにはならない、ということがまえがきで述べられています。どういうことでしょうか。
まえがきにも書いてありますが、「社会学」と「社会」は異なります。社会学は学べば学ぶほど、「社会」とは何ぞや?という問いに答えることが一層困難であることをわからせてくれるものです。だからこそ、社会学は興味深い。本書を読むことで、社会の広さに驚き、そして失望よりも探究心を掻き立てられるのではないかと思います。
興味のある方は、まず最初のまえがきでも本屋で読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。
史上最強の哲学入門
- 作者: 飲茶,板垣恵介
- 出版社/メーカー: マガジン・マガジン
- 発売日: 2010/04/14
- メディア: ムック
- 購入: 17人 クリック: 255回
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いわゆる哲学入門書だが、予想以上に興味深い内容。
カバーイラストを書いている板垣恵介は、チャンピオンで連載している『バキ』(格闘漫画)の作者。なので表紙はゴツイ絵(笑)。
内容も『バキ』同様に、哲学者を格闘家として扱い、各哲学者の主張を得意技として表している(プラトンなら、得意技「イデア論」)。これもなかなか導入としては面白い試み。
内容も、「真理の『真理』」や「国家の『真理』」などに分け、テーマごとに哲学者を登場させる。それによって教科書的な哲学の説明にとどまらず、そこかしこに各哲学者の主張の特徴を見出しやすくする配慮もなされていると感じた。
ここまで本書の特徴を記述してきたが、ここからは本書を読む上で注意・注視すべき点を挙げたい。それは、哲学の流れに一定の反復リズムがあることだ。
一章で言えば、プロタゴラスからデリダまで、哲学者の主張は常に対立構造の中で徐々にその理論を精緻にしていること。にもかかわらず、その対立は常に解決することなく、永遠と議論が終わることなく続いていくことが確認できるだろう。
これは、「だから哲学をしても意味がない」ことを意味しない。むしろ、哲学することは、人が生きていくことに等しい。「これでいのか、いけないのか」同じような悩みを持ち、常にそのまわりでぐるぐると頭をうならせているのが人間ではないか。哲学の歴史は、人の歴史と同じ構造を持つように私は思う。
だからこそだ。本書は、哲学とは、それを学ぶことで自分の実存が満たされる類のものではないことを我々に教える。しかしその点は絶望的なものではない。むしろ、答えがないという点がこそ、哲学を続けること=人生を続けることにいくばくかの影響を与えるということもまた、本書が教える点である。世界が理解できないことを知るという経験が、逆説的に人を勇気づける。
本書は、哲学を愛好する人間には、哲学のできることとできないことを教える。他方、哲学に興味がない人間には、ある種の「生き方=スタイル」に影響を与えるのではないか。本書からはそうした哲学のリズムを感じさせる。このリズムに注意しながら本書を読めば、本書が伝える知識や興味を、読者自身が発展させる仕方で理解することができるように思う。
今回も本書はマガジン・マガジン社様からご恵投いただいた。感謝感謝。
追伸
著者の飲茶さんのブログを発見したのでリンク
http://blog.yamcha.jp/
いくつかの書評
マガジン・マガジン社様からいくつか本をご恵投いただきました。
- 作者: 角川春樹,石丸元章
- 出版社/メーカー: マガジン・マガジン
- 発売日: 2009/11/10
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 77回
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私は角川春樹という人物を、80年代にメディア・ミックス戦略で一気に時代を駆け抜けた人物としか認識していなかったのですが、いろいろな意味ですごい人だと認識を改めました。
本書は角川春樹とその弟子による対談を収録したものである。弟子との対談であるが故に、角川春樹の難解な思想を解きほぐし解説することが上手くできていると感じた。
角川春樹という人物は、詩や思想、宗教に至るまで多くの現象に興味がある。そのひとつひとつの要素が彼の中でどのように折り重なったのか。彼の思想の複雑性を想うにつけ、その点を確認したいという欲求に駆られた。
角川は自ら2005年に起きるはずだった地震を止めたと公言しており、本書でもその点について発言している。
彼の発言はおそらく本気で述べている。私はこの発言の内容そのものには言及する気はない。しかし、一人の大事業を成してきた人間の(ある意味トンデモ)発言に潜む彼の思想の複雑性。そこに私はただただ興味が惹かれるのであった。ぜひ本の内容だけでなく、内容を越え出てあまりある彼の思想について、読者個人が思索に耽ることをオススメする。
こんなアホでも幸せになりたい (SUN MAGAZINE MOOK)
- 作者: 沖田×華
- 出版社/メーカー: マガジン・マガジン
- 発売日: 2008/11
- メディア: ムック
- 購入: 4人 クリック: 40回
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こちらも大変個性的な本というかマンガ。
著者自身の生涯を振り返るかたちで展開される本書は、まずそのハードな内容が目にとまる。
著者の生い立ちや、自身がアスペルガー症候群やADHD(注意欠陥多動性障害)を抱えていることが本書を読むとわかるのだが、そうした内容は作品を暗くするどころか、このヘビーな内容はむしろ笑いのネタとして示されている。
本書やその他の著書について、「障害を患っていながらもがんばっている人」だと記述する書評が目立つ。私見では、本書はそのように読むべき本ではない。障害や生い立ちの不幸に一切かかわらず、著者の行動とそのタイトル「こんなアホでも幸せになりたい」との差異に注意して読むべき本である。そして笑いも追加(笑)。
著者の明け透けで大胆で破天荒な行動はとても面白い。しかし著者は「幸せ」をどのように求めているのだろうか?表紙にはウエディングドレスを着た著者の絵が描かれている。彼女は結婚したいのだろうか?
本書のラストを飾るマンガには、彼女の実存が垣間見れる話が収録されている。破天荒な彼女の行動と、しかし行動とは裏腹に潜む彼女の幸せ願望。このアンビバレントな感覚をどのように読者は処理すべきなのだろうか。
病気よりも、この点に注意して本書を読んでみた時に、人の幸せについて読者は考えさせられるにちがいない。
ご恵投いただいたマガジン・マガジン社様、ありがとうございました。実はもう一冊ご恵投いただいた本があるのですが、書評はまた次回したいと思います。
アンクルトムの小屋
『アンクルトムの小屋』という小説の名前と、それが奴隷の話なのだというおおよその概要は知っている人も多いはず。だがほとんどの日本人はその小説を読んだことはないだろう。
実際アマゾンで検索すると、現在販売している『アンクルトムの小屋』はすべて、子供用に短くまとめられたものだからである。長編小説として書かれたこの小説の完全翻訳版はすでに絶版である。
本書のストーリーはシンプルと言えばシンプルである。「奴隷の一生、悲惨な一生」である。主人公の心やさしいトムという初老の男が、厳しい仕打ちを受けながらもひたすらにキリスト教の精神を貫くというストーリーである。
ローティが本書を子供用の教科書にせよ、という気持ちもわかる。痛みベースの共感は万人に共通だと「思われる」からだ。僕も読んでて心が痛かった。
本書に特筆することがあるとすれば、ひたすらむごい仕打ちを受けながらも、神をあがめているトムじいさんの姿に、何か神々しいものを感じさせる、というものだろう。本書が子供に読まれるとき、彼らが感じるのはなんだろうか。奴隷云々という歴史に対する怒りだろうか。
むごい仕打ちに対する怒りと悲しみだろうか。ひたすらに神を信仰するトムじいさんの姿に、神々しいものを感じる、得体のしれないものへの恐怖と興奮だろうか。ぜひ最後の一点に感じ入ってもらいたい。
図書館で完全翻訳を借りてこよう。アマゾンで買ったものは子供用だったので・・
- 作者: ハリエット・ビーチャー・ストウ,香川茂,Harriet Beecher Stowe
- 出版社/メーカー: ぎょうせい
- 発売日: 1995/02/01
- メディア: 単行本
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アンクル・トムス・ケビン〈上巻〉 (1952年) (新潮文庫〈第299〉)
- 作者: ストウ夫人,吉田健一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1952
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 36回
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アンクル・トムス・ケビン〈下巻〉 (1952年) (新潮文庫〈第278〉)
- 作者: ストウ夫人,吉田健一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1952
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 15回
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※1
ただしトムじいさんの献身は、ひたすらに神への依存であるという批判は可能だろう。彼の他者に対する献身は、常に神を前提とした行為であるからして、フーコーが司牧権力を説明する中で論じたような「依存」の態度なのかもしれない。それはそれで正しいとも思う。
※2
これは検証していないので断定はできないが、当時のアメリカにおける奴隷は、本書が記述するような劣悪なものではないという反論が多くある。当時のアメリカでは労働力が必要であるから、奴隷を酷使して死なすよりも、それ相応の対応をしていたということだ。また、当時は奴隷よりも一般労働者の方が、自ら生計を立てる分、苦しい生活を送っていたとの反論もある。本書の作者のストー夫人が奴隷反対論を一貫して主張していたことを考えると、この点も納得できるだろう。