いじめと社会構造について
以前内藤朝雄さんの『いじめの構造』を読んで大変感銘を受けた。今回の内藤さんと荻上チキさんの『いじめの直し方』は、小中学生に配慮した文体であるにもかかわらず、その内容は重厚かつ大人にこそ読まれるべきだと感じた。
- 作者: 内藤朝雄,荻上チキ
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/03/19
- メディア: 単行本
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- 作者: 内藤朝雄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/03/19
- メディア: 新書
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いじめの原因を個人に還元できるほど、社会はシンプルではない。小学生の状態から、すでに相いれない性格をもって自らの前に立ちはだかるエイリアン的存在は、残念ながら多い。そうだとすれば、どうすればエイリアンをスルーできるか?大人はこのスルー力をコミュニケーションスキルとして試されるのであれば、スルー力育成も学校で行うべき。しかし、教師によるスルー力云々の説明=教師の権力を使うよりは、クラス制度を解体した上で個人の主体的選択課程の中でスルー力を育成すべきだ。何より個人の自己信頼が自生的に形成されるのだから。
学校教育が規律と教師の命令(禁止)権力だとするならば、本書はまさしく環境介入型の権力による、社会統治及び個人の成長プロセスの説明であるとも読める。
子供も親も読むべき本。