最近読んだ本

西洋音楽史岡田暁生
 その名の通り、西洋の音楽というかクラシック史。クラシックの外観はわかったような気がするけど、クラシックは通史を読むより、とにかく聞いてみて好きになったものから興味の範囲を拡大すればいいかなとも思った。
 本書で面白かったのは、中世の音楽。「グレゴリオ聖歌」。著者の定義だと「単旋律によって歌われる、ローマ・カトリック教会の、ラテン語による聖歌」とのこと。要するに、ほとんど音楽と呼べないような、単純な音をこだまして、そこに歌をつけて聞くというもの。その本質は神に対する敬意、厳粛な空間をセッティングするためのものであって、音を楽しむ(音楽)はまだ誕生していなかったとのこと。音の背後に神=神的な何か、を読み込もうとするグレゴリオ聖歌。うーん、聞いてみたくなりました。

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)

リチャード・ローティ』大賀祐樹
 最近出版されたローティ研究書。著者の大賀さんは1980年生まれで、早稲田の博士課程の人らしい。29歳でこれだけの本を書いたのには同じ博士の学生としてマジで敬服しました。
 ローティの思想を丁寧に説明されており、特に2,3章ではローティ登場前の認識論的転回と言語論的転回について詳しく記述されている。これだけでも勉強になる。僕としては本書の核は4章と5章。あと飛んで7章。4,5章はローティ思想の核である、公と私の区別や、残酷さの回避などについて。ローティはシュクラーと同じでかなり消極的に、それでも未来を志向しているという印象を受けました。要するに「あきらめ」と、それを自覚した上での「希望」を推奨する哲学者だなと思います。あきらめも希望も、どちらも兼ねそろえていることが重要です。
 7章では彼の相対主義の議論の是非をめぐって、デリダシャンタル・ムフの議論との比較検討が行われていますが、僕の考えではラディカル・デモクラシーとローティの哲学は対立するようでいて、その実両者の接合点は考えられるのではないかとうすぼんやり考えたりしています。これについていつか発表できればいいな、と思い、年末をローティ研究にささげたいと思います。

リチャード・ローティ―1931-2007 リベラル・アイロニストの思想

リチャード・ローティ―1931-2007 リベラル・アイロニストの思想

脱構築とプラグマティズム―来たるべき民主主義 (叢書ウニベルシタス)

脱構築とプラグマティズム―来たるべき民主主義 (叢書ウニベルシタス)

ついでに、気にいった音楽をいくつか
サティ、イイ!!

あとこちら
これはピアノソロの曲なので、オーケストラ版とピアノソロ版だと、どっちもいい。しかしまあ、なんというか、ゲームにありそうな曲なのだwww