文字起こしについて

 とあるつながりである講義の文字起こしをやってみました。初めての経験だったのですが、一時間半の講義に、おそらく10時間以上はかかりました。聞いてはいましたがなかなか大変なものです。

 と、ただ愚痴を言いたいわけではありません。その逆です。口頭で語る先生の発言には驚きました。口頭なのにほとんど文章語としても成立するのです。気になって自分が発言する時に注意してみたのですが、僕の発言なんてほとんど主語とか抜け落ちてます。人前で話すときの作法について考えさせられましたし、むしろ常に論理的に語れるようにしよう、と動機づけられました。

 後感じたことと言えば、最近サボり気味の精読作業です。文章の校訂をしている中で、例えば「正統性」と「正当性」の差異について考えるように(これは本当に些細な例ですが)、細かな言葉の差異からその文章の意図を掴むこと、最近すっかり忘れていた感覚です。こういう地道な作業から生まれる知的発見とそれに伴う知的快感。重要なことです。