バクマンに思う

ジャンプ連載中の『バクマン』。デスノートのコンビが復活して今度は現代風まんが道を書いている。

ビックリしたのが今週のバクマン。デスノートと同じように、話の展開(デスノートだったらキラとLの頭脳戦、バクマンだったら売れるマンガの書き方)のディティールは相変わらずよくやってる。なんつーか、設定に相当こだわっている。でも、バクマンの主人公は一途な恋愛をしているという設定も今回は加わっている。

主人公サイコーとヒロインのアズキはほとんど会話もしてないのに相思相愛の設定。マジ男にとってのご都合主義。サイコーは友達から、「お前はSでもMでもなくて、Nだな。ナルシストのN」と言われる。

このナルシストという言葉は完全にデスノートのキラにも相当するだろう。デスノートの主人公ライト(キラ)は、死神リュークが隣にいたとはいえ完全に仲間と呼べる人物はいなかった。彼は完全に自分の独善的思想を貫くために、それこそ人殺しを厭わず己の思想に邁進する。これが世にいう「決断主義」。ライトの矮小な島宇宙化した領域と、Lのそれのぶつかりあい。その意味で、デスノートは決定的なバトル・ロワイアル状況を描いた作品だってことはよく言われる。

ではバクマンはどうだろうか。僕は簡単に言うと、話としてのバクマンは好きだけど、思想としてのバクマンはあんま好きじゃないなあ、と、今週のジャンプ読んで思った。というのも、ナルシスティックな思想に友達やら好きな女の子が味方してるなんて、都合よすぎだろう。

デスノートはラストでキラが死んでも、独断的な思想は生き続ける、というメッセージが表示されて終わっている。よくも悪くも世の中をよくあらわしている。

でももう2008年も終わりかけ。そろそろ新しい思想がでてもいい。しかし『バクマン』は釈然としない。まあちゃんとアズキと結ばれない、ということになるんだろうけど(いやわからない)。とにかく、今週の「N」の言葉に、今後の『バクマン』の展開に注目せよ!ということだけは理解できた。ってか、アズキとの恋愛はネタだよね?この恋愛に挫折さえすれば、逆に『バクマン』を評価できるんだけどなあ。