書評『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』

ソフトバンククリエイティブ様から
沢田健太著『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』
献本いただきました。ありがとうございます。


・本書は大学のキャリアセンターでキャリア支援に関わる著者の、現場からの声を活かした著作である。まず本書が問いかけるのは、今後の就活での「勝ち組」「負け組み」がさらの二極化すということ。なぜか。


・それは、2013年度入社となる現三年生の就職活動のスタートである会社説明会が、12月スタートになるというコンセンサスが今年になって採用されたからである(これまでは9月か10月あたりだった)。結果として説明会が集中し回りきれなくなったり、または情報に疎い学生はスキルアップする前にどんどん他者に内定を取られていくというわけである。


・もちろん、就活時期を遅らせることで学生はゼミ活動に専念することも可能であるが、それもやる気のある/ないが学生の質向上に大きくかかわる。要するに、怠惰な学生はもっと大変になるということ。

・このような現状の中で、著者は現場の知識を活かして様々な提言をする。学生にというよりは、キャリアセンターに向けてだ。その過程で、読者はキャリアセンターの実情と大学・企業間の関係など、その構造的特徴を掴むことができる。もちろん学生も、この知識を踏まえた上でキャリアセンターを訪れれば、何を聞けば就活に有益かの判断材料になる。


・本書を通読すると、キャリアセンターの課題の認識と限界点を見定めることができる。現役の学生が読めば、逆説的に「俺もっとがんばらないと」と思うかもしれない。それくらい、著者の就活業界への批判と指摘は鋭い(もちろん今後どうあるべきかの提言も多いのだが)。この点を考慮すれば、学部1,2年生やその親世代が読むのが一番最適かもしれない。


・また、本書が現状把握に役立つとすれば、就活の心構えとしては宮台真司『宮台教授の就活原論』がオススメ。これも3,4年生というよりは、1,2年とその親世代が最適かと思う。

大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動 (SB新書)

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宮台教授の就活原論

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